1930-40s Vintage Alpina Standard

DESCRIPTION

近年アルピニストという言葉を目にしたり耳にしたりします。
アルプスのような困難をともなう山に臨んでいる高度な技術を有する登山家のことを指すようで、単なる登山という言葉とはそのマインド（精神性）の深遠性に違いがあるようです。

時計の世界にもアルピニスト、若しくはアルピニズムが存在します。
そのものズバリのアルピナというメーカーが1883年にスイスで誕生していました。
ご存じのお方も多いかと思いますが、ハイグレード・メーカーとして知られていました。
社名の由来はお粗末でありましたが冒頭でご紹介したとおりです。
　" 困難に向かい高みを目指す "

出品のアルピナは1930年代後半から40年代にかけて製作されたものと思います。
状態はとても良し。
ストック品ではありませんので細かなスレはあると思いますが、数少ないアルピナ・ビンテージでは望外のコンディションと感じます。
私はこのアルピナの乳白の文字盤に感心しました。
塗装が大変に厚い。
ホワイト塗装のものを今まで数限りなく見ていますがこれは非常に素晴らしいレベルのもの。
ホーロー焼き（ポーセリン）見間違えるくらいに質感が出ています。
写真では赤っぽく写ってしまいましたが白磁のような乳白色です、それもボーンチャイナみたいな。

スタイルはサイド写真でもお解りのようにスリムでシャープです。
このスリムでシャープというのは大変流行ったデザインで、オメガのシーマスターやルクルトのマスターマリーナなどそのファーストはみなスリム・シャープで登場して来ました。
マリーナやシーが付くとダイバーズウォッチを想像されるかも知れませんが、当初は気密性が高く鋭いエッジの裏蓋を持ったものにネーミングされたのが、シーやマリーナやアクアといった製品です。
イメージとして耐水性（防水ではない）を連想させた。
勿論、ロレックスのサブマリーナはまだありません。
　（サブマリーナはダイバーズ・スタイルの元祖）
そしてそれに見合うグレードの高い機械を積み、斬新であったスリム・シャープのケースを与え、スマート感と高級感を演出した。
また、スリム・シャープのケースは製作が難しくスイスだからこそ可能となった技術で、米国時計は当初なかなか製作することができませんでした。
　（セイコーの技術を担当された方がどうやったら出来るのかと当時を述懐されていた）
技術的なサンプルでもあったわけです。
それで海を思わせるようなネーミングで時計の気密性と高品質をアピールする。
因みにロレックスのオイスターケースは既にあり、エニカというメーカーにはシーパール・ケースというものがありました。
出品のアルピナのスタイルはそのような時代の技術的デザイン的特徴をそなえています。
オールステンレス製。

サイズ　32mm x 40mm （リューズ除く）

ムーブメントはアルピナ・キャリバー グレード592。ムーブメントの写真をご紹介したいのですが、ステンレスケースがスリムであっても非常に頑強で裏蓋を外すことはできても閉めるにはプレスのプロ用道具が必要で、外したら私には閉められないので残念ながらお見せすることができません。
ムーブメントに関して私が信頼を置くランフツ博士をご紹介しますので、そちらをご覧になってください。

Alpina 592

現在快調に動作しています。

注意事項

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