管理番号 | 中古 :Z4804221675 | 発売日 | 2025/01/30 21:19 | 定価 | 13000円 | 型番 | 80131655756 | ||
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原型 | 松本紗弥愛 | ||||||||
カテゴリ |
■『寛容』神崎武雄著。■第16回直木賞受賞作。■昭和19年初版カバー付美本。■日本に渡った印度商人Dormy(装幀画)の悲喜交交。
横溝正史直筆署名・落款入『宝石推理小説傑作選 全3巻 757/888部』いんなあとりっぷ 昭和49年
▼1 【全15巻 吉行淳之介全集 新潮社 1997-1998 小説 短編 エッセイ】113-02309
A6S 井上ひさし 短編中編小説集成 全12巻揃い 岩波書店 すべて初版
「橋」とは、ある世界と別の世界を結ぶものなのであり、それを渡ることを繰り返し、そうしてすべて渡り切れば最後に、望むものを得ることができるという「人生そのもの」を象徴化している物語と言えます。
しかし、望みを得るための努力は、「肉体的な状況」、「人とのかかわり」、「社会的な決まり事」によって破綻させられてしまいます。
それらは、かならず、「個人的」な望みを破る方向に機能するのです。
三人の望みが破れる中、どのような望みを持っているのか何もわからない「みな」だけは、なにごともなかったかのように願い事をし、しかもその願い事は最後まで明らかにされないのです。
ここからが大きなテーマになります。
冒頭に「天の網島」の一節が書かれています。
「天の網島」では、橋づくしを終えた後に、望みがかなうのです。望みとは、愛しあう男女が永遠に一緒になるという望みでした。
それは「心中」によってかなうものだったのです。死による絶対的な成就。
これと重ね合わせて、はじめてこの物語は成り立つのです。
人の夢や希望は、生きていくことそのものによって、かならず妨害され、破綻させられる。
望みの絶対的な成就は、永遠なる死の中にだけあるのであり、もし生者がそれをかなえるなら、それは内なる闇の中、誰にもわからない個所にのみある。
生きていながら、ある意味、死んでいなければ得られるものではないのだ。
死を永遠に連ねる黒い奈落こそが、ややコミカルにすら見えるこの物語が描いていることなのです。』(より転載